千葉哲也
コメント

千葉哲也

――今回もまた劇団☆新感線に出ることとなり、率直な心境としてはいかがですか。

前回出演したのは『狐晴明九尾狩』(2021)ですから、4年ぶりですよね。そう、僕ここのところ4年に1回のペースなんで、オリンピック選手と言われています。ま、次の4年後はいないんじゃないかと思っていますけど(笑)。こうやって4年経つたびに何が起こっているかといえば、我が身が年をとっているということで。

――そこが一番ですか。

だって、大切なことですから。つまり、もうあまり動けませんよ、ということ(笑)。体力が、というよりは長い公演期間中に絶対に欠員しないようにしなければならないという、健康管理のほうに気を遣います。1公演休んだだけで大変なことになっちゃいますから。でもまた今回も、季節を2つまたぐくらいの長期間になりますよね。3つまたいだこともあるから、それよりは大丈夫かな(笑)。あとは激しい立ち回りがなければ平和に過ごせますけど……。いや、決してできないわけじゃないんですが、とにかくメンテナンスが厳しい状況になってしまうので。もはやアスリートみたいな感覚になってきましたね! 現時点ではまだ具体的なことは決まっていないようなので、ただ祈りながら待つしかないです。

――とはいえ青木豪さん脚本、いのうえひでのりさん演出の作品は経験済みですから、その点は安心なのでは?

そうか、俺の新感線出演第1作が『IZO』(2008)でした。でも最初だったから、もうあまり覚えていないんですよ。その後もパルコプロデュース公演だったけど『鉈切り丸』(2013)にも出ていましたが、あの時は立ち回りらしい立ち回りはなかった気がするな。

――新感線以外の作品でご一緒されたりも?

『中学生日記』に出た時の脚本が青木さんだったことがあります。あ、俺は中学生役じゃないですよ(笑)。それと昔、青木さんと一緒に何かやろうよと言っていたこともあったんだけど、それは実現しなかったんです。演出も、いまだに受けたことはないし。意外と、この業界ってなかなかご一緒できない人っているんですよ。だいたい、これだけ俺も新感線に出ていますけど、ふるちん(古田新太)とは一度も共演経験ないんですから。(橋本)じゅんちゃんとだって、まだ2回くらいじゃないかな。

――新感線にこんなに出ているのに。

と、言うほどは出てないんじゃない? 今回で6回目か……。でももはや楽屋は劇団員たちと一緒ですからね。インディ高橋がいて、吉田メタルがいて、俺、みたいな。そもそもゲスト扱いされたことって1回目の時だけで、あとはずっと劇団員枠なんですから。それなのに、きっちりお弁当の差し入れはさせられるんですよねえ……。もちろん、喜んで出してるんですけどね!

――(笑)。今回の共演陣の顔ぶれについては、いかがですか。

俺の場合は(早乙女)友貴と粟根(まこと)くんと(鈴木)拡樹以外は初めてじゃなかったかな。

――平均年齢もいつもより、若めですよね。

俺が平均を上げてるんですよ。今回、出演者の中では最年長になっちゃいました。そりゃ、弁当くらい出さなきゃダメですね(笑)。

――特に新感線の稽古場で、一番意識していることというと?

芝居自体、上演時間が長いじゃないですか。だから新感線の稽古ってそんなに回数ができないので、とにかく準備万端整えてから臨むようにしています。いのうえさんの演出って、最初にミザンスをつけてくださるんですね。まあ俺もたまには「変えてもいいですか?」なんて言う時もありますけど、いのうえさん自身がちゃんと芝居が好きな人ですから、その点では安心して委ねています。時々「千葉さんの好きにやっていいよ」と言われる時もあるんで、きっといのうえさんとの相性はいいほうだと思っていますけどね。

――いのうえさんは「千葉さんがいてくれると癒しになる」っておっしゃっていました(笑)。

え、癒し、ですか?(笑) そういえば以前『鉈切り丸』の時だったかな、俺が弁慶役で初挑戦の長モノの武器をブンブン振り回しながらブタ汗かいてたら、ものすごくゲラゲラ笑ってました。

――その、いのうえさんのお相手をすることも多そうですね。

でも前回の『狐晴明』の時はコロナ禍だったこともあって、いのうえさんが願掛けで禁酒をしていて一度も一緒に飲みに行けなかったんですよ。

――そうだったんですか!

今回はどうでしょう、解放されてますかね、その場合はまたご一緒したいものですが。ともかく稽古場では、いのうえさんの見せてくれる芝居が一番面白いんですよ。ほとんど振付に近いですね。あれが近距離で見られるというのが、新感線の稽古場での一番の楽しみかもしれません。

――では最後に、お客様にメッセージをいただけますか。

まずは、この『いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective』と銘打たれた舞台が一体どういう作品になるんだろう、というところを大いに楽しみにしていただきたいのと。俺としては友貴の殺陣、そして拡樹も殺陣がうまいですから、それをたくさん見たい。初参加の方々は初めましての人が多いので、なんとか彼らの足を引っ張らないようにしなければ!と考えています。あとはやはり最年長として、とにかく穏やかで楽しいカンパニーになったらいいなと願っています!