早乙女友貴
コメント

早乙女友貴

――今回は青木豪さんの脚本で、“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”となると聞いた時は、どう思われましたか。

毎回思うことですが、呼んでいただけることがまずは純粋に嬉しかったです。そして僕にとっては初めての青木豪さんの脚本作品ですからね。いつかご一緒したいと思っていたんですが、まさか新感線で叶うとは。僕、新感線の舞台では(中島)かずきさんの脚本作品にしか出ていなかったので、いつもとは違う感じになるんだろうし、それをいのうえさんがどういう舞台に演出されるのか、とても楽しみです。

――青木さんといつか、と思われたのは何かきっかけがあったんですか。

青木さんが以前、新感線で脚本を担当された『IZO』(2008)を観た時、新感線にもいろいろなダークヒーローはいましたけど、それともまたちょっと違う闇の感じがものすごく面白かったので。いつか自分も、ああいう役を演じてみたいなと思っていたんです。

――キャストの顔ぶれについては、いかがですか。

共演者の中に日ごろから仲良くさせてもらっている喜矢武さんがいるというのは、僕には違和感しかないんですけども(笑)。それこそ喜矢武さんは、ずいぶん前から「新感線に出たい」と言っていたので、本人は大喜びだと思いますよ。僕も仲が良いと言っても、共演経験はうちの劇団の公演にゲストとして出ていただいたくらいで、あとはだいたい飲み友達としてのお付き合いなんですけどね。だけど喜矢武さんはアクロバットができるくらい身体が動きますから、ぜひとも、へばるまでとことん動かしてもらいたいです。趣味が多彩でパルクールをやったりもするし、スノーボードやフットサル、とにかくなんでもやれる人ですから。そういう情報を早めにいのうえさんに渡して、僕よりも彼を動かすような流れを作っておこうかな、と企み中です(笑)。ただ、殺陣はそれほどやったことがないとは思うんですけど。

――では、鍛えがいがありそうですね(笑)。

そうです(笑)。勝手な予想では僕と絡む可能性もありそうだから、殺陣を教えたりいろいろ話しながら稽古ができたらなと思っています。千葉さんとは『狐晴明九尾狩』(2021)以来なので、またご一緒できることがすごく楽しみです。千葉さん、大好きなので。いてくださるだけで安心感があるし、めちゃめちゃ心強いです。そして(鈴木)拡樹くんとは、すっごい久々なんですよね。『あずみ~戦国編』(2016)という作品で共演したんですけど、あの時はあまり絡みがなかったので、久々の共演の場が新感線だというのもちょっと意外でしたね。あとは粟根さんのほかは本当に初めましての方ばかりなので、どういった感じになるのか楽しみで仕方がないです。

――喜矢武さんは、友貴さんをボコボコにするのが目標だと言っていましたが。

本当ですか?! やれるもんならやってもらいましょう!(笑) だけどそのくらいの意気込みで、喜矢武さんには大いに暴れてほしいと思っていますよ。ガッツのある人だし、やる気にも満ち満ちているだろうし。きっと夢の舞台でもあるでしょうしね。

――夢が叶うってことですものね。

なので、どうにか空回りせずにしっかり楽しんでもらえたらいいんですけど。そこは僕もできるだけサポートするつもりです。

――友貴さんも新感線に出演されるごとに、いろいろなものを得ていそうだと傍から見ていても思いますが。

そうですね、毎回得るものしかないです。いろいろな方々と共演できることもそうですし、いのうえさんから演出を受けることで、自分だけでは増やせないであろう引き出しがどんどん増えています。いのうえさんのおかげで自分のレパートリーが増えて、それが役者としての自信にも繋がっています。こんなことやったら絶対怒られるだろうなと思うようなことまで、「やれ」って言われるので(笑)。つまり、いのうえさんがやらせてくれるので、その点は気が楽というか。本当に新感線って、役者にとってはどんなことでも気持ちよくやれる現場なんです。

――新感線では、おバカなキャラクターもすっかりお馴染みになっていますが。

今回の共演陣を見ると俺、たぶんまたバカになりそうな予感大ですね……。だけど、どちらかというと喜矢武さんだってバカやれるんですよ。ただ僕と違うバカだからなあ。いのうえさんは、もうわかってるじゃないですか、僕がどこまでのバカをやれるかということは。今回は脚本が青木さんですから、そこまでバカには描かないかもしれないけど……でももしそうだったとしても結局、いのうえさんがバカキャラに変えそうな予感がします。そろそろもう少し違う感じもやりたいなと思いながら、でもまだまだバカやってる時が一番楽しいのかもしれません。大体、難しいんですよ、バカな役のほうが。全体を引っ掻き回さなきゃいけないですしね。

――では、最後にお客様に向けてメッセージをいただけますか。

もしかしたら「また出るんだ」と思われているんじゃないかとも思いますけど(笑)。とはいえ、僕はいつも新鮮な気持ちで出させてもらっているし、しかも今回はまた全然違った色の新感線になりそうですし。僕の勝手な予想ではきっとダークな珍しい色の新感線になるのでは?と思っていまして、しかもそういったダークめな新感線が僕は大好きなので、お客様にもぜひ楽しみにしていただきたいです!