鈴木拡樹
コメント

鈴木拡樹

――劇団☆新感線には『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』(2017~18)以来のご出演になります。今回7年ぶりに出演されるにあたって、まずどう思われましたか?

すごく嬉しかったです。前回参加させていただいた『髑髏城の七人』は“花鳥風月極”とシリーズがある大規模な興行で、最初は緊張感でいっぱいだったんです、「とんでもないものが始まるぞ!」と。だけど実際に稽古が始まるとスタッフさん含め劇団員の皆さんや、集まったカンパニーの皆さんに家族的な温かさを感じて「劇団って素敵だな!」と思っていました。僕は劇団に所属しているわけではないですし、もちろんプロデュース公演として集まったカンパニーで「また会えたら一緒に作ろうぜ」というノリも嫌いではないし、そのスタイルに慣れてはいるんですが、劇団のように帰れる場所がある集団が持つ結束力の強さには憧れもあって。あの温かさが僕は大好きだったので、またいつか「帰ってきたい」とずっと願っていたんですよ。

――今回は“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”と銘打たれた公演で、平安時代あたりが舞台になるとのことですが、どんな印象を持たれましたか。

いわゆる“あやかし”が出てくる物語って、平安時代のものが多いような気もしますしね。その時代背景の中で“鬼”がテーマになるというのはとても面白いなと思います。

――鈴木さんは今回もアクション、殺陣はありそうですかね。

ありそうですよね? と、予想していますが(笑)。

――既に経験者でもありますし、新感線の舞台で殺陣をやることについてはどんな想いがありますか。

新感線の殺陣って、めちゃくちゃカッコイイんです。刃と刃を合わせた瞬間、そこにライトがスパン!と当たるという演出を『月髑髏』の時はしていたんですけれども、あの精密さが今回も問われるのかなと思いますし。それはつまり、単に互いの刀の間合いに入るだけではないので、いつも以上にタイミングを気にして殺陣をしなければならなくなるんですが、これがハマると本当にカッコイイ。そのためにも稽古を何度も繰り返し、身体に馴染ませていかなければと思っています。

――やる側としては、バシッと決まると。

やはり、とても気持ちがいいです(笑)。今回もバシッと決められるよう、なんとか頑張ります。

――ご自分の中での目標とか、今回のテーマになりそうなことなどは。

今回は何よりも、劇団☆新感線の45周年記念の興行で呼んでいただいているので、ぜひ盛大にお客さんと一緒に祝いたいと思っています。だって、45年ってすごいですよ。諸説ありますが、織田信長の辞世の句とされているのも“人間五十年”で、その50年まであと5年なんですから。今回はその記念すべき50周年に向けてのいいスタートになればいいな、とも思いますし。参加させていただいている身からしても絶対に50周年記念を叶えるところを目撃させてもらいたいですから、ここは勝負どころだなと思いますね。

――そのためにも大事な45周年だと。

ですから、ずっと劇団を観続け、愛してくれている方に届けたいというのはもちろん大きなテーマとしてありますし、この機会に初めて来てくださるお客様も大勢呼び込みたいなという気持ちもあります。劇団☆新感線のチケットもなかなか取るのが大変だったりしますが、今回初めて観てみようかなという方がいらしてくれたらすごく嬉しいなと思うので。

――まさに今回はキャストの皆さんの出自がバラバラなので、初新感線のお客様も多いかもしれないですね。

そう、いいチャンスだと思うのでここでぜひ劇団の良さを知っていただいて、50周年の時も一緒に祝いましょうよ、ということです。

――なんだか、劇団員みたいなお言葉をいただきました(笑)。

勝手にそういう目線で喋ってしまっていましたね、スミマセン!(笑)

――では、ぜひお客様に向けてメッセージをいただけますか。

実は前作の出演後に観劇した際、僕なりに思ったオススメポイントを皆さんにお伝えしておきます。劇団☆新感線の舞台は、開演時間の5分前くらいには席に着いていたほうがいいと思うんです。友達やご家族と来ている方はおしゃべりしたり、おひとりだったらパンフレットを読みながら待っていると、お馴染みの音楽が流れてくるんですが、これにまずすごく高揚させられるので。またこれが、結構長めに引っ張るんです、煽りがすごい(笑)。あの高揚感を最大で感じるためには、少し前から席で待っていて突然始まる!というほうがすごく掻き立てられる。そして、とどめに発車ベルがジリリリリ!と鳴ると、次の瞬間から見たことのない物語、世界観がバーッと広がっていく。舞台ってやっぱりナマの魅力だと思うんですけど、この開幕の瞬間からそのナマの感覚が存分に詰まっているんですね。ですから、僕のオススメとしては準備万端で5分前には着席すること。もしよかったら試してみてください(笑)。