りょう
コメント

りょう

――今回の舞台『バサラオ』への出演のお話を聞いた時は、どんな想いがありましたか。

もうずっといつでも、新感線からお声がかかるのを今か今かと待っていたので「やっと来た、嬉しい!」と思いました(笑)。しかも今回は斗真くんが39歳のサンキュー公演だということですからね。4年前の新感線のサンキュー公演でも斗真くんと一緒だったんですが博多座公演の本番ができないことになってしまい、その時も「いつかリベンジを」ということは話していたものですから「私も呼んでもらえた!」と、本当に嬉しかったです。

――やっぱり、中止になったことは相当悔しかったですか。

悔しかったですねえ。現地にも既に行っていて、準備も整っていましたし。博多座さんがそれぞれの役者の名前で幟(のぼり)を作って劇場の外に立ててくれていたんですが、中止が決まったあともそれを食堂に飾ってくださっていたんです。感動しましたし、泣きましたね。

――それを踏まえて、今回の『バサラオ』は博多座で初日を迎えることになりました。

本当に、新感線はすごいですよね。4年前のリベンジをこういう形で実現させちゃうなんて、感激です。

――共演者の顔ぶれについてはいかがですか。

中村倫也くんとは、私はドラマでしかご一緒したことがないので、舞台では初共演です。『崖っぷちホテル!』というドラマだったんですが、その時からお芝居も繊細で、舞台での活躍も拝見してたので、今回新感線でご一緒できて光栄です。そして古田さんとは『髑髏城の七人』Season花(2017年)と、その前にも別の作品でご一緒していましたから(『ツインズ』(2015年))、舞台ではこれが三度目です。

――台本を読まれてご感想としては?

登場人物がみんな、野望と欲望と人間の業(ゴウ)を全部持っているような人間ばかりなので。「なんだかすごいな、この人たち!」と思いました。だけどそこには強い生命力も感じて。私、歴史上の出来事はよくわかっていないので、これから勉強しなきゃいけないなと思っているところです。中島かずきさんの作品って、物語の背景にある時代、時代に合わせて史実と筋がきちんとある上で、こんなに面白いことになっているところがすごいですよね。大げさに言うと、その筋さえしっかり捉えていれば何をしてもいいわけなので。南北朝という時代と時代の狭間みたいな世界を、こんな風にかずきさんは膨らませるのか、と思うとこれは心おきなく暴れられそうだ、すごく面白そう~!と、もうワクワクが止まりません。

――りょうさんはサキドという役ですが、現時点ではどんな印象をお持ちでしょうか。

サキドは、女大名なんですよね。どうやらモデルになっている人物がいるそうなので、稽古開始までに勉強しておきます。とにかく今、一番心配しているのはアクションに挑戦するらしいということなんですが。

――でも、りょうさんご自身が「やりたい!」とおっしゃったとか?

はい。私、ずっと新感線でアクションをやってみたかったんです。『髑髏城~』に出ている時も“女兵庫”みたいな役はないんですか?って図々しく聞いていたくらい。実際に、カポエイラを習いに行ったりもしていたんですよ。

――今はもうやっていないんですか。

カポエイラはアクロバティックな激しい動きをしなければならないので、40歳を過ぎた頃にドクターストップがかかってしまいまして(笑)。素人が手を出せるようなものじゃなかったんです。今も、キックボクシングは続けているんですけどね。だけど今回の舞台が決まって、いのうえさんが公式コメントで「りょうちゃんは本人の希望によりアクション多めです」みたいなことをおっしゃっていたので「うわーっ!」って思いました。

――でも、それってご自分が蒔いた種なのでは……(笑)。

あのね……まさに、そうなんです(笑)。私は新感線に関しては、基本的に何事も「できない」とは絶対に言わないことにしていて。正直なところ、アクションをやりたがっていたのは、たぶん5~6年前の話だと思うんですけどね……。いや、でも今だってやる気はものすごくあります。できることは、やります。

――できないとは言わない、と。

できます!(笑) だけど私が数ヶ月、数年程度鍛えたところでできることは限られていますから、そういう風に思っていただけると助かります。

――優しい気持ちで(笑)。

できる範囲でもちろんチャレンジさせていただきます! かずきさんの話では、サキドはどうも刀をいつも背負っているらしいんですよね。ちょうど家に木刀があるので、今、木刀の素振りから始めています。

――新感線の舞台ならではの魅力、それも時代劇で楽しみな部分というと。

私の場合、新感線では『髑髏城~』と『偽義経冥界歌』なので時代劇しか経験していないんです。ですから、先ほど言ったようにかずきさんの書かれる脚本の面白さ、きちんと史実という軸がある中で遊べる安心感、想像力がすごくかきたてられるところが特に面白いです。あとはやはり、アクションの方たちの殺陣がカッコイイ。あれを見たら、自分もやってみたいと思っちゃいますよ。衣裳も、毎回とても素敵ですしね。それから、劇団員のみなさんのことも大好き。何かあればすぐに助けてくださるし、心遣いが素晴らしい方たちばかりなので稽古中も寂しい思いをしたことが一度もないです。居心地が良すぎるくらいに環境が整えられているので、ひたすら自分の芝居に集中できる。だからこそ、いろいろとチャレンジしたくなっちゃうのかもしれませんね。

――自分がやったことのない挑戦も、ここならできるかもと。

自分の力が足りないということ以外の不安は、何ひとつ現場にないので。今回も、みなさんを心から信頼しております。

――今回、生田さん演じるヒュウガの掲げる信条が、物語のキーワードとなっていきます。それにちなんで、りょうさんが舞台に上がるにあたり一番大事にしている信条というと何でしょうか。

稽古中に自分をさらけ出すこと。今、お話していたように「これはできない」ということがあっても変にカッコつけずに、隠さずにそのままの姿を見せるようにしています。どんなにいのうえさんに叱られようが、できない事実があってもすべてを受け止め、すべてを出していく。じゃないと、本番の舞台には立てないと思うので。全部出しておくことでみなさんが「あ、りょうちゃんはここ苦手だったな」と助けてくださったりするので。私も、歌える、踊れる、アクションできるとか言っちゃっていますが、それ以外のことでは嘘はつかないです(笑)。

――それも嘘ではないと信じたいですが(笑)。

素直にすべてをさらけ出します!

――今回、成し遂げたい目標というと。

もちろん、アクションです。成し遂げたいです。そのために既にトレーニングは倍に増やしています。あと、刀を使うアクションがあるのかもしれないと予想をして、特に手首の関節を柔らかくしておこうと重点的にやっています。可能な限り、ベースをしっかり作ろうと思っていて、考えられることはいろいろと始めています。

――今回は“ピカレスクロマン”ということで、登場人物がみんな悪い人ばかりだとか。悪役を演じることについてはいかがですか。

悪役、私は大好きです。昔は好んでやっていたくらい。ふだんの生活ではできないこと、表に出せないけど実は持っているかもしれない部分を出せたりするから、楽しいんですよね。それで、なんとなくバランスが取れているような気もします。

――では最後に、公演を楽しみにしているお客様にお誘いの言葉をいただけますか。

まだ何も始まっていませんが、でも間違いなく面白くなります。きっと誰が男で誰が女なんてことは関係ない、性別よりもそれぞれの人間そのものが立ってきて、ものすごいことになりそうな気配を感じます。登場人物全員が強くて人間臭く、かなりパワフルな作品になりそうですから、ぜひとも覚悟を決めてお越しください。

thank you so much.

もう、みんなにサンキュー!です!! また今回も新感線の舞台に立てることがありがたいし嬉しいので、誰だろう、新感線のプロデューサーさんや、いのうえさん、かずきさん、とにかくこの場を私にくださった方たち全員に感謝しています。さらに家族のサポートにも助けられているので……って、なんだかこういうことって上手にさらっと言えないですね。もう本当に、みなさんのおかげなんです! まるで昔のアイドルみたいなこと言っていますね、スミマセン!(笑)

profile

10代からモデルとして CMや雑誌、ファッションショー等で幅広い活動を行う。1996年にドラマ『ロングバケーション』で女優デビュー。99 年公開の『双生児』で映画初出演を果たし、同年、高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞するなど女優としての才能も認められ、以降数多くの映画、ドラマ、舞台に出演。近年の主な出演作に、【ドラマ】『Tokyo Woman』(23・CX)、『王様に捧ぐ薬指』(23・TBS)、『ママはバーテンダー〜今宵も踊ろう〜』(23・BS TBS)、『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(22・NTV)、【映画】『夜明けのすべて』(24)、『バズ・ライトイヤー』(22・声の出演)、【舞台】『ジャンヌ・ダルク』(23)、『両国花錦闘士』(20)などがある。劇団☆新感線には『髑髏城の七人』Season花(17)、『偽義経冥界歌』(19-20)以来3作目の参加となる。