12年前の初演でも、三ノ宮役を演じました。同じ役なんですが、名前は亙(わたる)から一郎に変わり、職業も前回はクラブのオーナーでしたが今回は政治家。なぜ変わったのか、脚本の青木豪さんに伺ってみたいところですね。今回は登場人物が減っていまして、原作のシェイクスピアの『オセロー』でいうところの、オセローとデズデモーナとキャシオーとイアゴーとロダリーゴー、シンプルにこの5人を中心に物語が展開していきます。そして前回田中哲司さんに演じていただいたイアゴーにあたる人物が、今回は高田聖子さん演じるアイ子となり、元組長の奥さんとして登場するところも新機軸です。そのアイ子に利用され騙される、原作でロダリーゴーにあたる男が三ノ宮なんですね。
それにしても、三宅健さんがオセロ役というのは正直驚きました。健さんがどうおやりになるのかはまだまったく想像がつかないので、そこは稽古に入ってみるまでわかりませんが。そして健さんと共に初めましての寺西拓人さん演じる汐見という役にしてもさらにエキセントリックで面白い描き方をされているので、オセロも汐見もきっとトライのしがいがあるのではないでしょうか。そして松井玲奈さんとは、2年前に『オリエント急行殺人事件』という舞台で一度ご一緒させていただいています。新感線には初参加で楽しみと不安とが両方あるでしょうから、そこを手助けしたり橋渡ししたりしたいですね。松井さんがモナを演じるというのも、なかなか衝撃的だし面白そうです。そういえばオセロとモナって、とてもバカップルなシーンがあるんですよ。三宅健さんと松井玲奈さんをどんなバカップルとして、いのうえさんが演出をつけるか、そして二人がどう仕上がってくるかも楽しみです。
また、『オセロー』を翻案した舞台もいろいろありますが、イアゴーの役回りを女性が演じるというのは珍しいようにも思います。きっと今回は純粋に高田聖子がイアゴーを演じる姿を青木さんやいのうえさんが観たくて、こういう企画になっているんじゃないですかね。そして私が演じる三ノ宮はアイ子とのシーンがすごく多くて。すぐホイホイと騙されるキャラクターなので、そのあたりを存分に楽しみたいです。意外と新感線の本公演では聖子さんとがっつり二人だけのシーンって、最近ではないんですよ。ですので、そこは個人的な楽しみポイントのひとつかなとも思っています。
振り返ると12年前の初演時、三ノ宮はとにかく変装して出て来ていたんです。これは原作のロダリーゴーにイアゴーが「つけひげでもして、変装して来い」みたいなことを言うからだったりするんですが。その点、前回と同じように変装するのか、今回は違う方向で演出されるのか……。そこもまた稽古が進まないと見えてこない部分なので。果たしてどんな変装シーンになるかは、お楽しみにしていただきたいですね。
そして、このように原作のある作品の場合は「予習してくるとさらに楽しめますよ」みたいな話を、僕はよくコメントでしたりするんですけど。今回は予習しなくてもいいです(笑)。本当にシンプルに、人の猜疑心や嫉妬、虚栄心などに振り回される人間と振り回す人間がいて、心の弱い部分から崩れていってしまう。ギュッとまとめると、そういうお話なので。それに原作とは変わり過ぎているところも多いですから、特に読んでこなくても別に問題ありません。逆に、舞台を観てから原作を読むと「あんな下品なセリフ、オリジナルだと思ったのに原作にもあった!」という驚きが体験できるはずなので、あとで読むというのも面白いかもしれませんよ。
ともかくゲストのみなさんに魅かれて初めて新感線をご覧になる方には、先に謝っておきます、ごめんなさい。相当な悲劇ですし、しかもなんだか下品なシーンもたくさんありますし。でも大丈夫、面白いので! あなたの知らないゲストのみなさんの魅力を知っていただけると思います。どうぞお楽しみに!!
約20年ほど前、マイクロソフト社が出していたXBOX 360というゲーム機のボイスチャットという機能でゲーム友達が増えまして。でも、このマシンがとても壊れやすい。とはいえ修理に出すとオンラインで毎日遊んでいた人に会えなくなるのが辛いので代替機を1台買いました。そのうち1号機が修理から戻ると2号機が壊れ…1号機に戻してもまた壊れ…結果的に私の家にはXBOX 360は3台あります。これは悲劇でしょう。