1985年「ヒデマロ2~銀河烈風斎の逆襲」より劇団☆新感線に参加。マッドな博士から薄幸の美男子まで幅広く担当し、現在の劇団の中枢を担う存在。また、人物の観察力が鋭く、イラストも得意なことから雑誌のコラムなどでもその多彩な一面を見せる。劇団公演以外の近年の主な出演作品に、【ドラマ】「半沢直樹」(20・TBS)、「仮面ライダーウィザード」(13・EX)、「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(12・TX)、「11人もいる!」(11・TBS)、「MM9」(10・MBS)、【映画】「大怪獣のあとしまつ」(22)、「恐怖人形」(19)、「これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫」(11)、「インスタント沼」(09)、【舞台】「明治座で逆風の帆を張・る!!」「りぼん,うまれかわる」「今日もしんでるあいしてる」(21)、「オリエント急行殺人事件」(20)、「麒麟にの・る」「BURAI2」「+GOLD FISH」(19)、「若様組まいる~アイスクリン強し~」「トリスケリオンの靴音」(18)、「SKIP」(17)、「夜の姉妹」(15)、「真田十勇士」(15・13)など。

粟根まこと
コメント

――『神州無頼街』、いよいよ再始動ですね。
「やっと上演できる!」と、ホッとしているところです。社会情勢も鑑みて上演時間は3時間弱を目指そうということで台本をちょっとカットしたり、構成を少々変えるなどの練り直しの時間を経て、ようやくみなさまに観ていただける準備が動き始めました。うれしいですね。

――改めてこの作品の面白さは粟根さんの目にはどう映っていますか。
かなりドロドロした、ヘビーな話です。特に’21年秋の『狐晴明九尾狩』は比較的スッキリした、勧善懲悪ものというわけではないですが簡単に言うとクリーンな話だったので、『狐晴明~』で新感線が気に入った方だとちょっとビックリされるかもしれません。前回がエアブラシで描かれた綺麗な色のアクリル絵だとすると、今回は濃い色でゴテゴテと塗りたくった油絵のような作品になります。丁寧にアク抜きをして仕上げた塩ラーメンかと思っていたら、こってりした背脂たっぷりの豚骨ラーメンを出されたような気分になると思います。胃薬を持ってきてください。

――それをこのキャストの面々でやるわけなので。
このメンツだからこそ、ということでもありますけどね。今回はバディものということで福士蒼汰さんと宮野真守さんが二人である事件を解決しようと、協力したり反目したりしながら物語を進めていきます。この二人はクリーンなんですけど、それ以外のゲストが全員、濃い悪役ですから。まあ、今回は髙嶋政宏さんの迫力にすべてがかかっているとも思っています。身堂蛇蝎というこのキャラクターが、とにかく強烈ですごいので。蛇蝎を演じるために汗だくでギトギトな感じになっている政宏さんが容易に想像できますが、もうそれだけでひとつの勝利を得ているような作品なんです。それをみんなで盛り上げていくわけですけど何しろ、クレイジーでおかしな人しか出て来ないんです。福士さんと宮野さんにだって、実はそれぞれ裏がありますしね。また身堂家のメンバーがひどく狂ったやつらばかりなんですよ。私の演じる<風天千之介>も身堂家の者なので狂ってる側ですけど、比較的まともです。無頼の宿という富士の裾野の身堂家の本拠地には、ちょっとおかしな町の人たちがいて、これを演じるのが劇団員です。彼らもおかしいけど、そこまで狂ってはいない。この人たちがまともに見えてしまうのはどういうことだろうという展開で話は進んでいきます。千之介は、右近(健一)くん演じる雲海百千代とセットで、二人でずっと交互にしゃべっているような役どころです。葉月さん演じる揚羽の側近という立場なので、葉月さんともほぼ一緒の出番になりそうですね。ともかく、ヒーロー側の二人にも、身堂一家の四人にも、そして私や右近さんとかにも全員、過去に因縁があって。それが徐々に解き明かされていく展開になっています。

――お客様へお誘いのメッセージもいただけますか。
幕末の物語で、一応セリフにも薩長だとか官軍だとか幕府だとか出てきますが、言葉として出るだけで、いわゆる幕末モノらしさはそれほどないんですが。でも幕末ならではの浮足立った人々の気持ち、いわば革命前夜の狂騒感だとかアツく燃えたぎる空気感が反映された作品になっていると思います。春、ちょうど桜の季節に大阪、そして富士市、東京をまわります。特に新感線では初めての富士市公演は、富士の裾野の話ならではの旅情感込みでお楽しみいただきたい。劇場が本当に富士山の真ん前にあり、すごく景色がいいと聞いています。季節の変わり目とともに時代の変わり目を描く、この暑苦しい狂乱の物語をぜひ劇場でご確認ください。

Profile 1985年「ヒデマロ2~銀河烈風斎の逆襲」より劇団☆新感線に参加。マッドな博士から薄幸の美男子まで幅広く担当し、現在の劇団の中枢を担う存在。また、人物の観察力が鋭く、イラストも得意なことから雑誌のコラムなどでもその多彩な一面を見せる。劇団公演以外の近年の主な出演作品に、【ドラマ】「半沢直樹」(20・TBS)、「仮面ライダーウィザード」(13・EX)、「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(12・TX)、「11人もいる!」(11・TBS)、「MM9」(10・MBS)、【映画】「大怪獣のあとしまつ」(22)、「恐怖人形」(19)、「これでいいのだ!!映画★赤塚不二夫」(11)、「インスタント沼」(09)、【舞台】「明治座で逆風の帆を張・る!!」「りぼん,うまれかわる」「今日もしんでるあいしてる」(21)、「オリエント急行殺人事件」(20)、「麒麟にの・る」「BURAI2」「+GOLD FISH」(19)、「若様組まいる~アイスクリン強し~」「トリスケリオンの靴音」(18)、「SKIP」(17)、「夜の姉妹」(15)、「真田十勇士」(15・13)など。