古田新太

コメント
古田新太

――『天號星』に出演が決まった時点でのお気持ちとしては。

「あぁ、次はいのうえ歌舞伎作品なのかー」と、まずは思いました。

――(笑)。いのうえ歌舞伎シリーズへの出演は、ちょっとお久しぶりですよね。

『修羅天魔~髑髏城の七人Season極』(2018年)以来になりますかね。オイラ、できることならいのうえ歌舞伎のほうにはあまり出たくなかったりするんですよ。だって、かずきさんのホンもいのうえさんの演出も、結局カッコつけなきゃいけない流れになるじゃないですか。

――バシッ!と決めなきゃいけないですから。

しかもゲストが(池田)成志さんとなれば、早乙女兄弟と戦うのはオイラだけじゃないか!みたいなことになりますから(笑)。

――早乙女兄弟は、喜んでいるかもしれないですね。

兄弟は喜んでるでしょう、太一も友貴も「古田さんとチャンバラするのが夢でした」みたいなことを言ってくれてましたから。だけどオイラは彼らと戦うことを夢見ていたわけじゃないので(笑)。オイラはただただバカバカしいお話で、下ネタの歌を歌ってるのが好きな人なんです。まあ、だからこそそういう下ネタミュージカル系で戦わないで済む作品は、劇団外での活動でやるようにはしているんですけどね。いのうえ歌舞伎でも、たとえば『髑髏城の七人』の贋鉄斎みたいな役をやっている分には楽しいんですけど。

――なるほど。主役になってしまうと、どうしても戦わざるを得ませんね。

そうなんですよ。

――でもやはり一番の見どころとして、早乙女兄弟との戦いははずせなさそうですけれども。兄弟と揃って共演するのは初めてでしたね。

二人が揃って客演した『蒼の乱』(2014年)にオイラは出ていなかったもので。太一とは『けむりの軍団』(2019年)で戦ったし、友貴とも『薔薇とサムライ2』(2022年)で戦ったからもういいんじゃないか?とか、二人掛かりでかかってくるのはナシでしょ!と思っているところです。

――ちょっと今回はひねった設定、展開にはなりそうとのことですが。

そうなんですけどね。そしてどうやら今回、歌うシーンは少ないみたいなんです。

――そういう意味では、本格的な時代劇と言えそうです。

『けむりの軍団』の系統の話になるのかなとも思います。これで他に(橋本)じゅんや三宅(弘城)が出ているのならまだしも……。

――アクションが得意そうな人がいれば多少分担できるけど、そういう要素がある人は……。

今回、あまりいないんですよ。成志が戦うわけないし、サンボ(河野まさと)も戦わないだろうし……。

――でも女性の客演陣に山本千尋さんがいらっしゃいますから。

ゲストの女性陣とは、まだ面識がないんです。仲良くしてくれればいいんですけどねえ。

――(笑)。台本は読まれましたか?

軽く、読みました。お祭りっぽさ、祝祭感みたいなものはあまり感じられなかったです。

――そういうほうが好みなのに、と?(笑)

歌が少ない、ということは踊りも少ないし、つまりひたすら戦うしかないのか!みたいなことですよ。基本、物語としても太一とオイラの話ですから……ま、でも太一や友貴と一緒に芝居がやれる楽しみといえばチャンバラだから、結局覚悟を決めて戦うしかないんですけど。もう、アクションクラブのみんなに「おまえら、行けーっ!」と指さして代わりに戦ってもらうことにしましょう(笑)。

――その作戦をいのうえさんが許してくれるかどうかの戦いになりそうですね。

そうですね。しかも今日のヴィジュアル撮影で衣裳を着てみたら、意外と地味めでしたし。だから本当に『けむりの軍団』とか『乱鶯』(2016年)みたいな色合いの芝居になるんじゃないでしょうか。個人的には、できれば『蜉蝣峠』(2009年)みたいなのが良かったんですけどね、つまり共演の女優さんたちとイチャイチャできる色っぽいシーンがあるような……。

――設定的にも殺しの話が中心になりそうですから、やはり今回は戦うしか……。

ないですね!(笑)

――改めて今、いのうえさんの演出に関して思うことは。

オイラは、派手好きないのうえさんの演出が好きなんですが、やっぱり徐々に地味めでシブいお話を好んでやるようになってきていますから。それは、劇団☆新感線自体の傾向でもあって。ホントはもっと頭の悪い、派手派手な舞台をやってほしいなと思うんですけどねえ。お客さんの好みも、だんだん変わってきているのかもしれません。

――今回の公演に向けて、ご自分の目標とかテーマを掲げるとしたら。

やっぱり、まずは身体を痛めないことでしょうか。

――確かに、大事なことですね。

もう終活をしようと思っているので、終(つい)を考えているんです。できれば楽しいことだけやるのが一番いいなと思うんですよね。とにかく今回は、みなさんぜひとも早乙女兄弟の殺陣を中心に観に来てください! もはや劇団☆新感線改め、劇団朱雀と呼んでくれてもいいので(笑)。あと、劇団員としての見どころと言えばインディ高橋に注目してほしいかな。今回も、またそういう役か?みたいなことにはなっていそうですけれども。とりあえず、今日の時点ではそんなところで。劇団公演にはついついネガティブになる、古田さんでした!(笑)

profile

(ふるた・あらた) 劇団☆新感線の看板役者。大阪芸術大学在学中の1984年から劇団☆新感線に参加。エネルギッシュで迫力ある演技には定評がある。劇団公演以外の舞台にも積極的に参加し、自身で企画・出演を務める演劇ユニット“ねずみの三銃士”などもある。活躍の場は広く、バラエティ番組やCM出演、コラムニストとして書籍も出版している。劇団公演以外の近年の主な出演作品は【舞台】『パラサイト』(23)、『ロッキー・ホラー・ショー』(22・17・11)、『衛生』(21)【映画】『ヴィレッジ』(23)【ドラマ】『どうする家康』(NHK・23)、『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(EX・23)、『忍者に結婚は難しい』(CX・23)【配信】『離婚しようよ』(Netflix・23年6月~)、『MARVEL’Sウェイストランダーズ』(Amazon Audible・23年6月~)など。現在バラエティ番組「関ジャム~完全燃SHOW~」(EX)にレギュラー出演中。