前々から早乙女太一と友貴が兄弟揃って古田新太とガッツリ組む芝居を創りたいと思っていました。太一も友貴もそれぞれ16歳くらいから知っている。そんな二人が古田と同じレベルで芝居をするというのは、楽しみでもあるし、頑張ってほしいという二人への期待も高いです。
久保(史緒里)さんは、昨年の『桜文』を観ていて、ほわっとした空気をまとった女優さんという印象で、今回のミステリアスだけど芯が強いという役にハマると思います。山本(千尋)さんは昨年の大河で魅せた、現役ではナンバーワンのアクション女優ではないかと。なかなかアクションを披露する機会は少ないと思うので、新感線は絶好の舞台になると自負してますし、発揮してほしいですね。(池田)成志はいつもの感じで、皆さんが悩んでるときに話を聞いてあげて、余計なことは言わずに、邪魔しない程度に存在しててください(笑)。
この作品の見所はもちろんアクション。今回はガッツリチャンバラ新感線を創ります。そして、古田と太一が入れ替わることによって起きるドタバタの面白さやスリリングさ、芝居の演じ分けが作品の肝のひとつです。かずきさんとしては珍しい池波テイストで、今までのようにぶっ飛んだ設定ではなく、ファンタジーな要素はありつつも、江戸の市井を描いた等身大でリアルな延長線上の時代劇。個人的には大好きな世界観で楽しみですね。
(いのうえ・ひでのり)1980年劇団☆新感線を旗揚げ。以来、劇画・マンガ的な世界観にあたかもコンサート会場に来ているようなド派手な照明と音響を用いた構成で、演劇ファンのみならず音楽ファンをも虜にしてきた。笑いに特化した活劇の“ネタもの”では脚本も手がける。時代活劇の“いのうえ歌舞伎”ではアクションとケレン味を効かせた演出に、ドラマのうねりをのせた独特の手法で、小劇場の枠を超えた新しいエンターテインメントの形として“新感線”というジャンルを確立。2017年~2018年にかけてはアジア初の360°客席が回転する劇場「IHIステージアラウンド東京」でのロングラン公演を成功させた。劇団本公演以外にも、『近松心中物語』(18)、『熱海殺人事件』『阿弖流為』(15)、『鉈切り丸』『断色』『今ひとたびの修羅』(13)、『リチャード三世』(08-09)など、プロデュース公演の演出も多数手がけている。
【受賞歴】
第14回日本演劇協会賞(「髑髏城の七人」「SHIROH」の演出において)
第9回千田是也賞(「メタルマクベス」の演出において)
第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞(「メタルマクベス」の演出において)
第50回紀伊國屋演劇賞個人賞(「熱海殺人事件」の演出において)