早乙女友貴

早乙女友貴コメント
早乙女友貴

――もはやすっかり劇団員のような勢いで出演されている印象です(笑)。

ありがたいことです(笑)。ここ4~5年は年に一本のペースで関わらせていただいていますね。

――今回、お声がかかって率直な感想としては。

すごく嬉しかったです。どこかで古田さんと早乙女兄弟とで一緒にやらせてほしいという話はしていたので。3年くらい前、当時はまだ『薔薇とサムライ2』(2022年)への出演も決まっていない時期で、ということは古田さんとは僕、一度も共演したことがなかったので「ぜひ一度ご一緒したい、新感線の舞台で早乙女兄弟と古田新太さんとで戦いたい、やらせてください!」と訴えたら「ちょうどこちら側も考えてた」と言っていただいて。だけど、その前に古田さんと共演はしておけということで『薔薇サム2』にも声をかけていただいた、という順番だったんです。だから今回のお話は長年の夢が叶ったという意味でも、すごく嬉しかった。兄貴とも、新感線に一緒に出させてもらうのは『蒼の乱』(2014年)以来だから9年ぶりですしね。

――台本を読んでみて、ご感想はいかがでしたか。

いのうえさんから「久々に本格的な時代物をやるよ」と聞いていたので、台本を読んでまず思ったのは「本当にそうだな」ということでした。また、今までとは違ったテイストを感じつつ、その中にやはり新感線ならではの部分もしっかり入っていて。まさに他では観られない時代劇がやれそうで、すごくワクワクしました。

――友貴さんは、ここ最近は新感線の舞台ではいつも可愛らしいおバカなキャラクターを演じられてきましたが。

はい、いろんなジャンルのおバカを演じてきました。でも今回は少し違って、抜けているところはあるけどバカ度はちょっと低めかな、と。今までにないくらい、男臭い荒くれ者みたいな印象のある役でしたね。

――見せ場もいっぱいありそうです。

たくさん動きそうですからね。だけど第一印象で、僕よりも兄貴と古田さんがものすごく大変そうだなと思いました。あの古田さんが、まあまあ動かないといけなくなるんじゃないですか?

――『薔薇とサムライ2』の時は、直接対決する場面はありませんでしたけど。

そう、戦えなかったんですよ。でも今回は、昔から憧れてきた方とちゃんと刀を交えることができそうなので、本当に嬉しいです。しかし“入れ替わり”の設定がちょっとややこしくて。中身は古田さんなんだけど外見は兄貴とか、台本を読んでて途中でよくわからなくなっちゃいました(笑)。

――文字で読んでいるとよけいに混乱しそうですよね(笑)。今回演じる朝吉は、現時点ではどんな人だと想像していますか?

荒くれ者だし残酷で、台本を読んだ感じではかなりヤバイ奴です。兄貴が演じる役に恨みを抱いて追いかけている設定ではあるんですが、それをどうふくらませていくかに関しては稽古に入っていのうえさんの演出を受けながら、考えて肉付けをしていきたいです。だけど単なる悪役とも違って、ちょっと憎めないところもありそうなのでそこをいかにアレンジできるか、ですね。

――そこは、いのうえさん次第。急におバカ設定になるなんてことは、今回はないですかね。

いや、その可能性はまだ残されてます、いのうえさん次第です(笑)。

――共演者の顔ぶれに関しては、気になる人がいたりしますか。

女性陣ゲストの方とは初めてご一緒します。山本さんは中国武術をやられているそうなので、いろいろ教わりたいです。それから実は成志さんとは僕、初共演なんですよ。だからすごく楽しみに思っていたのに、どうやらあまり絡む場面はなさそうなんですよね。

――太一さんとは劇団朱雀でも一緒にやられていますが、こうして外部の現場で共演することに関しては。

劇団朱雀以外での共演は久々なので、どうなんでしょうね。いや、今回の新感線に出演が決まった時点では、うちの劇団公演をこの直前にやるなんて思っていなかったんです。よく考えたら今年は、兄貴となんだか一年中一緒に過ごすことになってしまい、少しイヤだなという気もしていますが(笑)。だけど、やっぱり自分たちの劇団公演だとお互いにどこか責任がありますし、どうしても外でやる時とスタンスが違うんですよね。その点、新感線に出させてもらう時はとにかく環境が整っていて自分以外の心配をしなくていいので。ある意味お互いが自分のことに集中して、時には意見交換し合ったりしながらできるので、楽しみなこともたくさんあります。

――公演を楽しみにしていらっしゃるお客様に向けて、お誘いの言葉をいただけますか。

年齢層問わず楽しめるのはもちろんなんですが、特に時代劇というと若い方にはそれほど馴染みがないじゃないですか。だけど、時代劇にしかない面白さってめちゃめちゃあるのでいいチャンスだと思うんですよ。新感線がやる本格的な時代劇なら、若い方も観やすいと思うし。派手な中にも時代劇の良さは必ず出てくるので、苦手意識を持たずに大勢の方に観ていただきたい。そのためには僕たちが身体をボロボロにして大変な思いをしつつ(笑)、でも絶対に面白いものを作りますのでこの機会にぜひ楽しんでほしいです!

profile

(さおとめ・ゆうき) 1997年に1歳半で初舞台を踏み、その後「劇団朱雀」の看板俳優としてキャリアを積む。代名詞となっている鮮やかかつ洗練された唯一無二の殺陣、美しい日舞やダンスは多くの人を魅了。個性的な役から正統派な役まで幅広いジャンルを演じている。近年の主な出演作品は、【舞台】『祭宴』『キングダム』(23)、『BANANA FISH The Stage-前編-』『陽だまりの樹』(21)、『劇団朱雀 復活公演』(19-20)、『八王子ゾンビーズ』『遙かなる時空の中で3』(18)、『あずみ~戦国編』(16)、『南の島に雪が降る』(14)、『里見八犬伝』(12)【映画】『八王子ゾンビーズ』(20)【ドラマ】『べしゃり暮らし』(EX・19)、『警視庁・捜査一課長』(EX・18)など。劇団☆新感線には『薔薇とサムライ2』(22)以来、本作が5度目の参加となる。