2017年春から2018年大晦日まで約2年間、IHIステージアラウンド東京でのロングラン公演という前代未聞のチャレンジを敢行した劇団☆新感線。 360°回転の遠心力から得た加速度を微塵も緩めることなく、2019年~2020年も引き続き全力で走り続けます! 劇場の特殊性から、どうしても東京・豊洲のみの上演となってしまっていたわけですが、2019年~2020年にかけて3年ぶりの劇団本公演、旗揚げ39周年にあたる“サンキュー興行”を敢行!
まず2019年“春公演”は、大変お待たせしました! の大阪、金沢、松本公演を行い、明けて2020年に東京、福岡公演を予定しています。
演目は、『偽義経冥界歌』。ちょっと歌舞伎風を意識して『にせよしつねめいかいにうたう』と読んでください。2016年の『乱鶯』以来のいのうえ歌舞伎の新作で、劇団の座付き作家・中島かずきによるゼロベースからの完全新作は2014年の『蒼の乱』以来ということになります。中島にとっては初めての鎌倉時代を舞台にした物語という点も、注目していただきたいポイントのひとつ。また、いのうえひでのりにとっては、この2年の経験と出会いの数々からいただいた刺激を財産とし、改めていのうえ歌舞伎に向き合うことで時代劇でできることの新たな可能性を探っていきます。
今回、中島がモチーフとして選んだのは“奥州三代”と“義経黄金伝説”。
源義経は、歴史上の一大事に大きく関わっているというだけでなく、その後に語られたり書かれたりした数多くの物語に登場しており、実は偽物説、影武者説等さまざまな、それもかなりドラマティックな謎を多く抱えているという魅力的な人物でもあります。その義経が実際に奥州に匿われていたという史実をスタートラインに、奥州三代の盛衰の行方も絡めつつ、中島脚本ならではのファンタジーも散りばめつつ、歴史ミステリー好きの心をもくすぐるアッと驚く展開が繰り広げられます。
基本的には役者の素質に合わせた“あてがき”で、生き生きとパワフルにこの世界観を疾走し、暴れまわる登場人物たち。特に今回は登場するすべてのキャラクターの個性が色濃く際立っているため、主人公の偽義経を中心としながらもまるで群像劇のような、それぞれの人間ドラマをも堪能できる味わいの作品になっています。当然のことながら、新感線ならではの笑いたっぷり、殺陣、アクション満載の王道エンターテインメント作品です。
主人公の偽義経、<源九郎義経・みなもとのくろうよしつね>を演じるのは、『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(2016年)以来、新感線には4度目の出演となる生田斗真。2002年上演の『スサノオ~神の剣の物語~』でいのうえ歌舞伎作品に登場して以来の、いのうえや中島、劇団員らとも親交が深い“準劇団員”ではあるものの、いのうえ歌舞伎の新作に主演として挑むのは、これが初めてのこと。さまざまな作家、演出家と組み、繊細でナイーブな演技から、すべて振り切った強烈におバカな役柄までを完璧に演じ切る生田が、新感線の本格的時代劇のど真ん中でいかなる境地に達するか、どうぞご注目ください。
『髑髏城の七人』Season花(2017年)の極楽太夫役が新感線デビューだったりょうは、『Season花』が終演後早々に劇団の次作品への出演希望を口にしていたという逸話の持ち主。その謎めいた美しさに磨きをかけ、イメージぴったりの奥州・奥華一族の“巫女長・みこおさ”、<黄泉津の方・よもつのかた>に扮します。
新感線初参加のキャストとしては、華やかな顔合わせが実現することになりました。偽義経の弟にあたる<奥華次郎泰衡・おうがのじろうやすひら>を演じるのは、数々の舞台で演劇キャリアを積んでいる中山優馬。ここまで本格的な殺陣は初挑戦となるため、その運動能力を活かし、これまでとはまた一味違う才能をこの作品で披露してくれるはず。
大陸渡りの歌うたい<静歌・しずか>を演じるのは独特のスモーキーボイスが魅力のシンガーソングライター、藤原さくら。 2016年にテレビドラマ『ラヴソング』のヒロインとして女優デビューした彼女の、これが初舞台にあたります。新感線の世界観、それも時代劇で、彼女がいかなるパフォーマンスを披露するか、どうぞお楽しみに。
<源頼朝・みなもとのよりとも>を演じるのは、劇団員の粟根まこと。ゲストたちに気遣いを忘れず、鋭い眼光を光らせながら、しなやかな殺陣でピシッと場面場面を締めていきます。
演技力の高さだけでなく、ムードメーカーとしての安定感も折り紙付き、新感線への出演はこれが5回目となる押しも押されぬ“準劇団員”の山内圭哉は<常陸坊海尊・ひたちぼうかいそん>としてお得意の“ボヤキ役”のポジションで活躍する予定です。
超絶技巧の刀さばきが必見の早乙女友貴は<遮那王牛若・しゃなおううしわか>、つまりホンモノの義経役として登場。殺陣はもちろんのこと、今回のクセのあるキャラクターをどう演じるかも楽しみなところ。 また、この公演は前半と後半でキャストが変わることも、意外性を含んだ面白さのひとつです。
<武蔵坊弁慶・むさしぼうべんけい>役は、大阪・金沢・松本公演では劇団員の橋本じゅん、東京・福岡公演ではナイロン100℃の三宅弘城という実力派二人が、これまでの義経と弁慶のイメージとは一味違う人間関係を築きます。そして巫女の<くくり>は大阪・金沢・松本公演ではナイロン100℃の新谷真弓、東京・福岡公演では劇団員の山本カナコが演じます。どちらも、同じ設定の役柄、同じセリフでもかなり違う印象の役づくりとなることは必至。公演期間があき、稽古をし直すことで演出の変更等や解釈の深化など、違いが出てくることも必至。前半と後半で、その違いを観比べるという楽しさも生まれるはずです。
さらに2018年『メタルマクベス』disc1にて、退団以来21年ぶりに劇団☆新感線の舞台に参加した橋本さとしが早くもまたまた登場! しかも中島かずきが現在の橋本さとしのために書き下ろした役柄で、という意味では再び胸熱な想いを抱くファンの方も多いことでしょう。 偽義経となる玄久郎と次郎の父親であり、奥華一族の当主でもある<奥華秀衡・おうがのひでひら>を重厚に、コミカルに、そして存在感たっぷりに、その魅力を100%発揮しつつ演じます。
もちろん劇団員たちも多数出演し、馴染みの特徴を大いに活かしたキャラクターでそれぞれ登場、得意技をバンバン発動しつつステージ狭しと大暴れします。
2019年~2020年も、今まで以上のトップスピードで突っ走る劇団☆新感線39興行! 他では決して観られない極上のエンターテインメント時代劇がここに誕生します。どうぞ、ご期待ください!!