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いのうえ歌舞伎の完全新作、ゼロベースからの書き下ろしという意味では『蒼の乱』以来、そして鎌倉時代の物語を書くのはこれが初めてになります。今回モチーフに使ったのは、奥州藤原三代と源義経との関わりです、この物語では“奥州奥華(おうが)”と書き換えていますが。奥州の人たちは蝦夷の末裔なので、今回は僕が長年書き続けている北関東から東北を舞台にしている作品群、『阿弖流為』『蒼の乱』『髑髏城の七人』『吉原御免状』の間を埋める作品だったりもします。義経が藤原秀衡を頼って奥州に逃げ込んでいた史実をもとにしていて、加えて義経にはもともと替え玉説もありますからね。生田斗真くんで“偽義経”というところがミソで、考えついた時には「これだ、イケる!」と思いました。基本的にキャラクターは全部あてがきですが、斗真くんにあてがきするのはこれが初めて。振り切っちゃったほうがそれゆえの悲しさ、健気さが出るはずなので、彼が新感線に対して想ってくれている気持ちに応えたくて、腕によりをかけました。ここまで書いて怒られないか?と思いつつも(笑)、僕なりに斗真くんの良さを活かして書いたつもりです。
1985年『炎のハイパーステップ』より座付き作家として劇団☆新感線に参加。座長いのうえひでのりとは高校演劇を通して知り合う。『銀河旋風児SUSANOH』『髑髏城の七人』『阿修羅城の瞳』など歴史や神話をモチーフに物語性を重視し、複雑に絡み合う伏線を多用した脚本は、疾走感とグルーヴ感あふれる演出とあいまって劇団の代表作となっている。また、『No.9 -不滅の戦慄-』(15・18-19)、『真田十勇士』(13・15)、『ジャンヌ・ダルク』(10・14)、『戯伝写楽』(09)、『レディ・ゾロ』『OINARI -浅草ギンコ物語-』(03)等の外部への書き下ろし作品も多数。演劇以外にも映画やテレビの脚本、コミック原作、テレビアニメ『天元突破 グレンラガン』(07・TX)や『キルラキル』(13・MBS/TBS)の脚本・シリーズ構成やアニメ版『のだめカンタービレ フィナーレ』(CX・10)のシリーズ構成、『仮面ライダーフォーゼ』(11・ EX)、劇場アニメ『ニンジャバットマン』(18)の脚本のほか、オリジナル小説『まつるひとびと』(11)を出版するなど活躍の場は広い。2019年に脚本を担当した劇場アニメ『プロメア』の公開された。
【受賞歴】第47回岸田國士戯曲賞(『アテルイ』)
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今回はまず斗真くんありきで、初めてのいのうえ歌舞伎の主役でと考えた時にこれまではチャラいキャラクターのほうが多かったので、もうちょっと真面目にというかがっつりと時代劇に取り組んでもらおうと思ったんです。彼の場合は芝居の基本をウチの劇団で身につけたようなところがあって、“準劇団員”いわゆる“新感線TRIBE”の中ではメイン役者のひとりでもありますから(笑)、脱ステージアラウンド第1弾の主役としてもとても力強い存在。どちらかというと“受け”の芝居をすることが多いようですが、今回は珍しくその逆、ツッコミまたはボケの芝居を楽しんでもらえることと思います。そして僕としてはとにかく観客席を回すことを考えなくていいので、そういった意味では久しぶりに通常業務に戻る感覚もありますね。とはいえ今回の台本もこれまた大変で、ある意味『吾妻鏡』であり、『リメンバー・ミー』でもあり、主役を張れるくらいの個性派たちがゾロゾロ出てくるので『アベンジャーズ』でもあり(笑)。『偽義経』のはずなのに?と思われるでしょうが、観ればきっと「ああ~、そういうことか!」と納得していただけるのではないかと思います。
1980年劇団☆新感線を旗揚げ。以来、劇画・マンガ的な世界観にあたかもコンサート会場に来ているようなド派手な照明と音響を用いた構成で、演劇ファンのみならず音楽ファンをも虜にしてきた。笑いに特化した活劇の“ネタもの”では脚本も手がける。時代活劇の“いのうえ歌舞伎”ではアクションとケレン味を効かせた演出に、ドラマのうねりをのせた独特の手法で、小劇場の枠を超えた新しいエンターテインメントの形として“新感線”というジャンルを確立させた。2017年~2018年にかけてはアジア初の360°客席が回転する劇場「IHIステージアラウンド東京」でのロングラン公演を成功させた。劇団本公演以外にも、『近松心中物語』(18)、『熱海殺人事件』『阿弖流為』(15)、『鉈切り丸』『断色』『今ひとたびの修羅』(13)、初めて本格的にシェイクスピア作品に取り組んだ『リチャード三世』(08-09)など、プロデュース公演の演出も多数手がけている。
【受賞歴】
第14回日本演劇協会賞(『髑髏城の七人』『SHIROH』の演出において)
第9回千田是也賞(『メタルマクベス』の演出において)
第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞(『メタルマクベス』の演出において)
第50回紀伊國屋演劇賞個人賞(『熱海殺人事件』の演出において)
STAFF CREDIT
美術 二村周作
照明 原田 保
衣裳 竹田団吾
音楽 岡崎 司
作詞 森 雪之丞
振付 TETSU
音響 井上哲司
音効 末谷あずさ
殺陣指導 田尻茂一 川原正嗣
アクション監督  川原正嗣
ヘア&メイク 宮内宏明
特殊効果 南 義明
映像 上田大樹
大道具 俳優座劇場舞台美術部
歌唱指導 右近健一
演出助手 山﨑総司 佐藤ゆみ
舞台監督 芳谷 研 篠崎彰宏
    
宣伝美術 東 學
宣伝画 山本タカト
宣伝写真 渞 忠之
宣伝衣裳 竹田団吾 松竹衣裳
宣伝ヘア・かつら 宮内宏明 アート三川屋
宣伝メイク 西岡達也 岩下倫之
宣伝小道具 高津装飾美術
宣伝・公式サイト
制作運営
ディップス・プラネット
制作協力 サンライズプロモーション東京
    
宣伝 浅生博一 長谷川美津子 森脇 孝
制作助手 武冨佳菜 坂井加代子 泉野奈津子
制作デスク 高畑美里
制作補 辻 未央
    
制作 柴原智子 堂本奈緒美
エグゼクティブ
プロデューサー
細川展裕 藤島ジュリーK.
    
東京公演 【主催】
東京グローブ座/ヴィレッヂ
福岡公演 【主催】
株式会社博多座
    
企画 ヴィレッヂ/劇団☆新感線
製作 東京グローブ座/ヴィレッヂ